歯科コラム

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MTAセメントという治療の選択肢

2023.11.09

MTAセメントという歯科材料をご存知でしょうか?専門的な材料ですのであまり馴染みがない方のほうが多いかもしれませんね。

今回は、MTAセメントという治療の選択肢について、お話しします。

・MTAセメントとは
MTAセメントはアメリカで開発された歯科用セメントのひとつで、国内では2007年から販売しており、さまざまな症例で評価を得ている薬剤です。Mineral Trioxide Aggregate(ミネラル三酸化物)の略で、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、二酸化ビスマス、石膏などが主な材料です。

・MTAセメントの特徴
MTAセメントにはさまざまな特徴がありますので、いくつか簡単に解説します。

・高い殺菌効果がある
・人体との親和性が高い
・水分があってもしっかり固まる
・固まるときに膨張する

MTAセメントは強アルカリ性で高い殺菌効果があり、ほとんどの殺菌を破壊することが可能です。高い殺菌効果を持ちながらも、人体には安心して使える素材で作られています。

おくちの中は常に湿った状態ですので、一般的なセメントではうまく固まらないことがあります。MTAセメントは水分が存在していてもしっかりと固まる性質があるため、そのようなトラブルを起こしにくいです。固まるときに膨張する性質もあり、隙間なく埋めることができます。

・MTAセメントを使うのはどんなとき?
実際に歯科医院でMTAセメントを用いるのはどんなときなのか、みていきましょう。
歯の神経の保存
むし歯が歯の神経まで到達した場合、一般的には神経を取り除く処置を行います。これは、細菌感染を起こさないようにするため、また歯の神経による痛みを抑えるために必要な治療です。

しかし、歯の神経を取ってしまうと、残った歯は枯れ木のようにもろくなってしまいます。ですから、できることなら歯の神経は残しておきたい大切なものなのです。

そういったときに、MTAセメントは活躍します。むし歯が神経まで到達している、あるいはとても近くまで進行しているときに、MTAセメントで歯の神経と外部の交流を遮断することで、歯の神経を生きたまま残すことができます。

MTAセメントで神経を保護したあとは、通常通りに被せ物や詰め物をして治療は終了です。

・破折部分の補修
過去に歯の神経を取る治療を行っている歯は、将来的にひび割れたり折れたりする可能性が高く、なかでも歯の根が割れてしまう「歯根破折」は抜歯になる原因のひとつです。一般的には、歯根が破折した場合には、抜歯になることがほとんどです。

歯根が破折した場合にもMTAセメントは効果を発揮します。歯がひび割れている部分や折れてしまっている部分をMTAセメントで固めることで、これまでの材料では保存できなかった歯を残せるようになります。

状態によっては保存できないこともありますが、奥歯のように根が分かれている歯であれば根を分割し半分だけ保存したりすることもありますので、まずは一度ご相談いただければ幸いです。

・MTAセメントでより良い治療を!
MTAセメントを使用することで、これまで不可能とされていた治療が可能になりました。歯の神経は少しでも露出すれば取り除く必要がある、とされてきましたが、MTAセメントを使用することで露出した神経も保存できる可能性が格段に上がったのです。

デメリットとしては、保険が適用されないため治療にかかる費用が高くなってしまうことが挙げられます。ですが、歯の神経を残すメリットはたくさんありますし、一度失った歯の神経は元に戻せませんので、長い目でみるとメリットの大きい治療だといえます。

当院でも、MTAセメントを用いた治療をおこなっております。歯の神経を大切にしたい方は、ぜひ当院でご相談ください。

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