歯の神経について
『歯の神経はなるべく残しましょう』と歯科医院で言われたことはありませんか?
歯の神経を残したほうがいい理由までしっかりお伝えできればいいのですが、なかなか詳しくお話しできるタイミングが設けられないこともあります。
そこで今回は、この場を借りて歯の神経について、すこし詳しくお話しします。
歯の神経があるから、異変に早く気付く!
『歯の神経』と言われても、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
そもそも神経とは、脳とからだのすみずみをつなぎ、連絡を取り合うネットワークのことをいいます。
これだけでも、歯の神経は、歯で受けた刺激を脳へと伝える大切な役割を果たしている、ということがわかりますね。
『歯が痛い、不快感がある』と感じるのは、歯の神経があるからなのです。
もしも歯の神経を取り除くと、痛みを感じなくなりますし、不快感もなくなります。
これだけみると『歯の神経があるせいで歯が痛むのか』と誤解されそうですが、痛みや不快感を感じられることは、からだの危機管理能力としてなくてはならないものです。
もしも痛みがなければ、むし歯が目に見えてわかるくらいに大きくなったり、歯が大きく欠けたりしないと気付けないため、治療開始が遅くなり、歯を残せる可能性がぐっと低くなってしまいます。
痛みは、からだからの警告です。『痛みなんて必要ないのに』などと思わず、健康にすごしていくためには神経を大切にしていきましょう。
歯の神経をとると、抜歯の可能性が上がる!?
『神経をとった歯』と『神経を残している歯』の違いは、よく木に例えられます。
神経のある歯は『生きている木』、神経のない歯は『枯れ木』と言われ、歯の強さが違ってきます。
神経の役割は、先程お話した痛覚のみではありません。
歯に栄養を送るという重要な使命も果たしています。
栄養が届かなくなった歯は、枯れ木のようにだんだんともろくなり、最終的にはボロボロになってしまうこともあるのです。
ですから、神経を取り除く場合には、簡単には割れてしまわないように金属などの土台を入れ補強するような治療をします。
それでも、枯れ木は枯れ木ですから、日々の咀嚼や食いしばりなど、負担に耐えきれなくなると割れてしまうことがあります。
神経のある歯でももちろん割れてしまうことはありますが、両者を比べると、神経のない歯のほうが割れて抜歯となってしまう可能性は高いです。
歯をできるだけ長持ちさせるためには
歯の寿命は、神経があるかないかによって、10年近く違ってくると言われています。
なるべく神経をとらずに済むように、日々のお手入れや定期検診などで管理していきましょう。
もちろん、神経をとってからも20年、30年と維持される方もいらっしゃいます。
しかし、神経をとらずに済むのであれば、とらないのが歯のためには良いでしょう。
万が一、歯の神経が死んでしまったら、信頼できる歯科医院で根気強く治療を受けましょう!
歯の神経を取り除く治療は、とても繊細な作業を行うため、時間や回数がかかります。
途中でめんどくさく感じることもあると思いますが、省略できることではないので、頑張って最後まで通院してくださいね。
しっかり治療をしたあとには、定期的な検診も受けましょう。
神経をとった歯は、むし歯になったりヒビが入ったりしても分かりにくく、発見が遅れると歯を失う可能性もあがってしまいます。
定期検診は、むし歯や歯周病を予防するためにクリーニングや検査を行います。
おくちの異変を早期発見・早期治療することで、歯の健康だけでなく、全身の健康にもつながりますので、積極的に受診しましょう!